ChatGPTの登場によって、より身近な存在となったAI。仕事などでChatGPTを活用している人も多いのではないでしょうか。ChatGPTに限らず、近年目まぐるしく進化していくAIはすでに私たちの生活のさまざまな場面で活躍しています。
2024年8月23日に太田出版より刊行した『図解でわかる 14歳から考えるAIの未来と私たち』(インフォビジュアル研究所・著)は、AIの歴史や基礎的な知識を、図を用いてわかりやすく解説しています。私たちの未来を考えるにあたって欠かせない存在であるAIが、どのように生まれ、発展していったのか。AIは私たちにとって絶望なのか、それとも希望なのか。本書を通して一緒に考えてみませんか?
脳神経細胞が情報を伝える仕組み
AI研究の始まりは、人間の脳神経ネットワークが発見されたことが、ひとつのきっかけでした。これを機械的に再現して、人間のように思考するAIをつくろうとしたのです。
人間の脳には、無数のニューロン(神経細胞)があり、結びついてネットワークを構築しています。ニューロンは普通の細胞と違い、細胞体から樹状突起と呼ばれるものがいくつも突き出し、軸索というしっぽのようなものを伸ばしています。この形は、別のニューロンと電気信号をやりとりするためのもので、樹状突起は入力、軸索終末は出力を担当します。
では、電気信号はどのように伝わるのでしょう。右上中段の図に示したように、まず、樹状突起がほかのニューロンから信号を受け取ります。信号が弱ければ何も起こりませんが、複数の信号が加算されて、閾値(一定の値)を超えると、信号は軸索を下って次のニューロンへと出力されます。つまり、出力がなければ0、あれば1。デジタル信号と同じです。
人工ニューロンの単純モデル
このニューロンの基本的な機能を模したのが、人工ニューロンモデルです。信号の強弱を、ここでは「重み」で表します。「重み」というのは、情報の重要度に応じて設定される数値のこと。重みが加わった複数の信号の和が閾値を超えると、出力する仕組みです。
ひとつひとつのニューロンの働きは単純ですが、人間の脳内では多数集まって連携することで、認識
、記憶、判断など複雑な処理を行います。それと同じことを再現するため、人工ニューロンをいくつもつなぎ合わせたニューラルネットワークが生まれました。最初は単純なパーセプトロンから始まり、多層化することによって精度が向上。複雑な処理が可能となり、人間の脳に迫りつつあります。
ただ、忘れてはならないのは、人間の脳は電気信号だけで動いているわけではないということ。電気信号の伝達には、イオンや化学物質も関与しますし、脳は身体とも連携しています。生物と機械の違いは、ここにあります。
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