なぜ、地球上には3,000万種もの生き物が生息しているのでしょう? なかには、誰もが苦手に思うような虫やこわい生き物も存在します。でも、そのどれもが地球には必要不可欠なのです。
10月に発売された『図解でわかる 14歳から知る生物多様性』(インフォビジュアル研究所)では、地球だけがもつ奇跡の多様性を守るために、今わたしたちが知るべきことを分かりやすく解説しています。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、生物多様性に支えられた自然界のバランスについて。
あらゆる命はつながっている
地球上には、なぜさまざまな生物がいるのでしょう? それは、お互いに支え合い、自然界のバランスを保っているからです。
例えば私たち人間を始めとする動物は、酸素と食べ物がなければ生きていけません。酸素は、もともと地球にあったものではなく、植物がつくり出しているものです。植物は太陽光、水、二酸化炭素を取りこんで光合成を行い、酸素を吐き出すとともに、生育に必要なデンプンなどの栄養分もつくります。自分自身で栄養分をつくることができる生きものは植物だけです。そのため植物は、自然界の「生産者」と呼ばれます。
この植物がつくった栄養分を取りこんで育つのが、「消費者」です。消費者のうち、植物を直接食べる草食動物や鳥や虫は「一次消費者」、それらを食べる肉食動物や大きな鳥や虫は「二次消費者」と呼ばれます。
そして、動物の排せつ物や死骸、枯れた植物などは、「分解者」と呼ばれる微生物などによって分解され、土に還って再び植物に取りこまれていきます。
陸上だけでなく、海中でも、同様に生命が循環しています。海藻や植物プランクトンは「生産者」、動物プランクトンや魚介類は「消費者」、微生物は「分解者」の役割を担にない、互いに支え合っているのです。
このように、あらゆる生きものは、食べる・食べられる、という「食物連鎖」によって結びつき、自然界のバランスを保っています。そのため、どれかひとつでも、欠けたり、増えすぎたりすると、ほかの種も影響を受けてしまいます。単独で生きられる生きものは、ひとつもないのです。
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本書では、生物多様性の基礎知識や、生きものたちにしのび寄る危機、人類と生物の関係についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から知る生物多様性』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。