グレタ・トゥーンベリさんが気候変動の対策を訴え、世界から注目を集めた2018年から6年が経ちました。気候変動への問題意識は年々高まりを見せています。
一方で、複雑な気候変動の問題について、いま何が起きていて、そもそもなぜ問題なのかが把握しきれずにいる人も少なくないはずです。
2020年7月22日に太田出版より刊行した『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)では、地球の気候システムから、いま起きている大変動、さらに人類にできることまで、気候変動の問題を網羅的に、そして図を用いてわかりやすく解説しています。
刊行以来ご好評をいただいている中、この度4度目の増刷が決定いたしました。その記念として、一部をOHTABOOKSTANDで全6回にわたって公開します!
自然にはあり得ない気温上昇
前項で見たように、地球の気候は、太陽の日照(にっしょう)量の変化や火山の噴火(ふんか)などによって、これまで何度も変動(へんどう)を繰り返してきました。そのため、いま進行している温暖化(おんだんか)も、自然が引き起こしているのではないかと考える人もいます。
これを打ち消したのが、p28 ~ 29 で見た気候モデルによるシミュレーションです。下のグラフを見比べてみましょう。自然変動だけを考慮(こうりょ)したシミュレーション②では、20世紀前半までは、実際の気温変化①をほぼなぞっていますが、20世紀後半の急激な気温上昇は再現できていませ
ん。一方、ここに温室効果(おんしつこうか)ガスなどの影響を加えたシミュレーション③では、実際の気温と同じような上昇ラインを描きます。
こうした結果を受けて、IPCC第5次評価報告書(詳しくはp35)は、95%以上の確率で「20世紀半ば以降の温暖化の主な原因は、人間活動の可能性が極めて高い」と結論づけています。人間は、地球の気候さえも変えてしまったのです。
『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。