グレタ・トゥーンベリさんが気候変動の対策を訴え、世界から注目を集めた2018年から6年が経ちました。気候変動への問題意識は年々高まりを見せています。
一方で、複雑な気候変動の問題について、いま何が起きていて、そもそもなぜ問題なのかが把握しきれずにいる人も少なくないはずです。
2020年7月22日に太田出版より刊行した『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)では、地球の気候システムから、いま起きている大変動、さらに人類にできることまで、気候変動の問題を網羅的に、そして図を用いてわかりやすく解説しています。
刊行以来ご好評をいただいている中、この度4度目の増刷が決定いたしました。その記念として、一部をOHTABOOKSTANDで全6回にわたって公開します!
日本を直撃する巨大台風
近年、日本に上陸する台風が、大型化しています。特に 2019 年の台風 19 号(ハギビス)は、各地に記録的豪雨(ごうう)をもたらしました。総雨量は、東日本を中心に17地点で500㎜を超え、神奈川県箱根町(はこねまち)では、観測史上最高の 1000㎜を記録。この大雨によって、各地で河川(かせん)の氾濫(はんらん)が相次(あいつ)ぎ、土砂崩(どしゃくず)れや浸水(しんすい)が発生し、77 名の人命と多くの家屋(かおく)が失われました。
日本には毎年、台風が上陸していますが、これほど広範囲にわたって被害(ひがい)をもたらすことは珍しく、温暖化(おんだんか)との関連が指摘されています。
温暖化で台風が勢力を増すわけ
台風は、熱帯の海上で発生する熱帯低気圧(ていきあつ)が、勢力を増して発達したものです。台風19号の場合、最大瞬間風速が18時間で40mも強まり、巨大台風となりました。
これほど短時間で大型化したのは、温暖化によって、海水温が上がり、海から蒸発する水蒸気(すいじょうき)が増えたためと考えられます。熱帯低気圧は、大気中の水蒸気が上昇し、水に変わるときに生じる熱を燃料として発達します。そのため、水蒸気が多いほど、どんどん燃料が注がれて勢力を増すのです。
台風19号が被害を拡大させたもうひとつの理由は、同じ場所に長時間居座って、大雨を降らせたことです。これは、偏西風(へんせいふう)が例年より北にずれ、台風の速度が弱まったためで、温暖化によって、大気の循環(じゅんかん)が乱れていることと関係しています。台風の強大化と減速化は、今後も増えていくと考えられ、防災(ぼうさい)の強化が求められています。
『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。