「生きるための食べ物」はいつから「利益のための食べ物」になったのか。『図解でわかる 14歳から知る食べ物と人類の1万年史』では、人類が歩んだ食の歴史と、食のための産業が引き起こした地球規模の問題について、図解イラストとともにわかりやすく解説しています。今回は、食品容器などのプラスチック製品が地球環境に与える影響について。レジ袋の有料化、紙ストローなどの再生可能な材料の開発は、地球上のすべての生き物が安心して生きていくための大事な課題です。共に学びましょう。
使い捨て生活が生む大量のごみ
日本でも2020年7月からレジ袋の有料化が始まったように、世界ではプラスチックの使用を減らす取り組みが進んでいます。世界中の海に年間推定800万トンものプラスチックごみが流れ出し、生態系に悪影響を与えていることが発覚したためです。
プラスチック製品のなかでも特に問題になっているのが、世界のプラスチック生産量の3分の1以上を占める容器や包装です。その多くは、食品に使われています。
セルフサービスのスーパーやコンビニの普及によって、店頭に並んだ商品のなかから、消費者が自分で選べるよう、商品は小分け包装されるようになりました。食品の品質を保つために、密封性に優れたプラスチック製フィルムが開発され、さらに、魚や肉用の発泡トレイ、インスタント食品用のカップ、レトルト食品用のレトルトパウチ、飲料用のペットボトルなどが次々と登場。ファストフード店が誕生すると、プラスチック製のカップやストロー、スプーンなどが大量に使われるようになりました。
これらはすべて一回限りの使い捨てです。リサイクルされるのは、ほんの一部にすぎず、ずさんなごみ管理やポイ捨てなどによって、多くのプラごみが、川から海へと流れ出しているのです。
プラスチックは、自然界では分解されない人工素材です。粉々に砕けても、その性質は変わらないうえ、海中の有害物質を吸着することがわかっています。魚がプランクトンと間違えて食べてしまうと、食物連鎖によって濃度を高めた有害物質が、最終的には私たちの口に入る恐れもあるのです。
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本書では、人と食の歴史やSDGsに関わる国の食の問題、日本の食の問題などについてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から知る食べ物と人類の1万年史』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。なお、「図解でわかる14歳からの~」は現在第19弾まで刊行されている人気書籍シリーズ。ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、宇宙開発、食料問題、LGBTQ+防災などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。