「民主主義の危機」というフレーズを最近よく耳にしますが、そもそもどういう意味なのでしょうか。それがなぜ歓迎されざるべきことなのか、私たちは明確に言葉にできるでしょうか。古代にすでに存在した民主主義の起源・基礎から、最先端のITとAIによるデジタル直接民主主義までをコンパクトな通史として俯瞰しつつ、これからの世代の民主主義の「あり方」を具体的に考えるための情報集がインフォビジュアル研究所・編『図解でわかる 14歳から考える民主主義』です。
ここでは、本書から一部をご紹介していきます。(全6回)
ほど遠い政界の男女均等
2021年11月に発足した第2次岸田内閣の閣僚20人のうち、女性はわずか3人。歴代内閣を見ても、最多で5人、最少はゼロ。平均すると女性閣僚の割合は約1割にすぎず、世界でも下位レベルです。
日本では2018年に「候補者男女均等法(正式名称は「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」)」が施行されました。これは、国会や地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党などに求めた法律です。しかし、義務ではないため、あまり効果を上げていません。議員候補者が少なければ、女性議員や女性閣僚が少ないのも当然でしょう。
男性中心の日本の政治
世論調査によると、一般国民の約8割は女性議員が増えることを望んでいます。しかし、実際には女性議員はいっこうに増えていません。その原因にあてはまると思う項目を尋ねた調査結果が、下のグラフです。
これを見ると、「政治は男性のもの」という意識が、日本の社会に根強く残っていることがうかがえます。それを反映するかのように、男性中心の政界では、女性を蔑視した発言、女性議員に対するセクシャル・ハラスメント(セクハラ、性的嫌がらせ)、マタニティ・ハラスメント(マタハラ、妊娠・出産に対する嫌がらせ)などが、しばしば問題になっています。
いくら女性たちに政治に参加したいという思いがあっても、こうした土壌が改善され、男性の意識が変わらなければ、女性議員の数を増やすことは難しいでしょう。
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本書では、民主主義の誕生や歴史、これからの課題についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から考える民主主義』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。なお、「図解でわかる14歳からの~」は現在第20弾まで刊行されている人気書籍シリーズ。ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、宇宙開発、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。