現在、地球上には3,000万種ともいわれる生き物が生息しています。これらの生き物は、環境の変化とともに進化し、お互いが適切に生きるためのバランスを維持しています。これを「生物多様性」といいます。しかし今、人間の活動により発生した環境問題により、地球に生きる多くの生き物たちが絶滅の危機に瀕しているのです。
10月に発売された『図解でわかる 14歳から知る生物多様性』(インフォビジュアル研究所)では、地球だけがもつ奇跡の多様性を守るために、今わたしたちが知るべきことを分かりやすく解説しています。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、地球上の生物が迎えようとしている危機について。
38億年かけて進化した生物はいま6回目の大量絶滅を迎えている
広大な宇宙のなかで、生命の存在が確認されている星は、地球以外にありません。私たちが住む地球は、多彩な生きものの営みに溢れた、唯一無二の存在なのです。
地球が誕生したのは、約46億年前。生まれたばかりの地球は、1000℃以上もの高熱のマグマに覆われ、とても生物が棲めるような環境ではありませんでした。2億年以上かけて表面が冷やされると、海が生まれます。この海のなかで最初の生命体が誕生したのは、約38億年前のことでした。
海中に生まれた小さな生命体は、進化を重ねていき、約5億4000万年前のカンブリア紀には、多様な生物が一挙に生まれる「カンブリア大爆発」が起こりました。
そして約5~4億年前から、まず植物が、次いで昆虫類や両生類の祖先が、海から陸に上がりました。生きものが陸上で暮らせるようになったのは、約27億年前に大繁殖したシアノバクテリアが、それまで地球になかった酸素を、光合成によってつくり始めたためでした。
何億年もかけて、海にたまった酸素は大気中に放出され、上空にオゾン層を形成し、太陽から降り注ぐ強烈な紫外線を遮断します。そのおかげで、海中でしか生きられなかった生きものたちが、陸上に進出し、さらに進化していくことになったのです。
こうして地球には、海にも陸にもさまざまな生物が溢れるようになりました。しかし、地球の長い歴史のなかでは、7割以上もの生物種が同時に滅んだ「大絶滅」が、過去に5回起こっています。
最初の大絶滅は、オルドビス紀末(約4億4400万年前)に起こり、生物種の85%が絶滅しています。2度目のデボン紀後期(約3億7000万年前)には82%、3度目のぺルム紀末(約2億5000万年前)には史上最大の96%、4度目の三畳紀末(約1億9960万年前)には76%、そして5度目の白亜紀末(約6550万年前)には70%の生物種が滅んでしまったのです。
大絶滅が起きたのは、寒冷化や火山活動、隕石の衝突などによって、地球環境が大きく変化したためでした。それでも生物は、新たな環境に順応しようと進化を続け、新たな種を生み出してきました。
例えば、私たち人類を含む哺乳類の祖先は、恐竜の全盛時代には、ネズミほどの大きさしかなく、恐竜から逃れて夜行生活を送っていました。しかし、最後の大絶滅で恐竜が滅びると、哺乳類は爆発的に進化を遂げ、大きさも姿形も多様な種が現れ、恐竜に代わって繁栄するようになったのです。
それから長い年月が流れたいま、再び大絶滅の危機が訪れるかもしれない、とささやかれています。それも、過去の大絶滅のように自然現象によるものではなく、私たち人類の活動が原因だというのです。
約700万年前に地上に現れ、いまや生物界の頂点に立つ人類は、多様な生物とどのように関わり、どんな問題を引き起こしてきたのでしょう。本書は、まず地球の宝である「生物多様性」について学び、それを脅かす諸問題を考え、解決策を探っていきます。6回目の大絶滅を食い止めるにはどうしたらよいのか、これから皆さんと一緒に考えていきましょう。
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本書では、生物多様性の基礎知識や、生きものたちにしのび寄る危機、人類と生物の関係についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から知る生物多様性』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。