法改正により、2022(令和4)年4月1日より、裁判員になる資格を持つ年齢が18歳以上になりました。2016年6月には既に18歳から選挙に参加できるようになっており、多くの票が選挙に反映されたと言われています。裁判員裁判に参加し、司法にも18歳・19歳の声を届けていきませんか?
2023年2月に発売された『図解でわかる 14歳から知る裁判員裁判』(インフォビジュアル研究所)は、民主主義と裁判の深い関係や、裁判と裁判員制度の基礎知識、裁判員裁判シミュレーションなど、いざ自分が裁判員に選ばれた時にためになる知識が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、なぜ18歳から裁判員に参加する必要があるのか、一緒に勉強しましょう。
校則にあてはめて考えてみよう
皆さんの学校にはどんな校則がありますか? 通学に関すること、校内生活に関すること、遊びやアルバイトなど校外生活に関すること、服装など個人の生活に関することなどが決められているかもしれません。
学校での主役は生徒や学生の皆さんです。校則は皆さんが学校内外で安全で快適に生活できるためのルールです。ルールは学校生活の主役である皆さんのためにあり、先生のためにあるのではありません。
では、校則を決めるとき、どんな校則が必要か、決められた校則には納得できる理由があるか、皆さんの声はどのくらい届いていますか? あるいは校則に違反したかどうかを判断するとき、皆さんの声はどくらい反映されていますか?
もし校則が、皆さんの意見を聞かずに、「学校生活の専門家」という理由で先生だけで決められ、皆さんはそれに従わなければならないとしたらどう思いますか? また皆さんの声を聞かずに「それは校則違反だ」と先生から判断され、ペナルティーを受けるとしたら、どう思いますか?
ルールが自分たちのルールであるならば、皆さんが参加してどんなルールが必要かを決め、ルールに違反したといえるかどうかについても皆さんの意見も聞いてほしいと思いませんか?
社会のルールにも18・19歳の意見を
それは社会のルールである法律についても同じです。法律も、皆さんが大事なメンバーである社会のルールです。法律は、20歳以上の国民だけに向けられているのではありません。
2016年6月から選挙権の年齢が18歳以上に改正されました。社会の重要なメンバーである若い人も、18歳になれば社会のルールがどうあるべきかを判断できると考えられたからです。
それならば、社会のメンバーの行動がルールに違反したといえるかについても、18歳になれば判断できるのではないでしょうか。さもないと、18歳、19歳の声は、ルールを決める場である国会には届いても、ルールに違反したかどうかを決める場である裁判所には届かないことになってしまいます。ですから皆さんも、18歳、19歳になったときには、自分たちの声を裁判所に届けることが必要なのです。
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本書では、裁判の基礎知識から裁判員裁判のシミュレーションまで、裁判員裁判に関わる情報を幅広くご紹介。人を裁くことへの向き合い方を学べる一冊となっています。『図解でわかる 14歳から知る裁判員裁判』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、金融リテラシー、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。