現代も古文の授業で扱われている『古事記』や『日本書紀』。これらに登場する日本の神々の名前は、ゲームなどのファンタジーの世界で目にする機会もあるかと思います。では、何故日本人はこのような神話を作り出したのでしょうか。
2023年6月に発売された『図解でわかる 14歳から知る日本人の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)には、「信じる」より「感じる」、そんなゆるやかな宗教の時代へ向かう、日本の宗教とこれからについてまとめられた記事が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
神話と宗教の誕生
神話は、自分たちが暮らす土地の始まりといったことを語る物語です。そして神殿や巨大な墳墓(古墳)などが築造されると、当然、そこで儀式・祭りをする神官らの組織も生まれ、宗教とよんでもよい段階になります。巨大な神殿や墳墓は、だれもが跪くような迫力があるので、国や一族を結束させる大きな文化パワーを生み出しました。
日本人の神話は、縄文・弥生時代から続く暮らしの中で語られ、人々の心の地層に積み重なった物語に加えて、中国から伝わった話が元になりました。
神話は自分たちが生き残るために大切な物語でした。たとえば他の集団との戦いが起こったとき、人々は自分たちに伝えられた神の物語を唱え、勝利を祈ったことでしょう。そうした神話は一定の血縁集団(豪族・氏族)ごとに、王や土地の伝説として語られたでしょう。やがて、複数の氏族が連合したり、支配したりして、大きな氏族の王が大王になり、天皇家の始まりになりました。そして大王の物語として奈良時代の初めのころに記されたのが『古事記』『日本書紀』です。あわせて各地の伝説や地方豪族の話が『風土記』に記されました。
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本書では、成り立ちから現代まで、日本の宗教とそれに関する情報を幅広くご紹介。縄文から続く日本人の宗教と文化をたどる1冊となっています。『図解でわかる 14歳から知る日本人の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。