学校の歴史科目ではあまり教わる機会のない世界各国の天地創造神話。中国ではどのようなお話になっているのでしょうか? 古代中国の宗教を読み解くための第一歩、と言える天地の始まりの物語について迫っていきます。
2024年1月に発売された『図解でわかる 14歳から知るインド・中国の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所/大角修・著)には、古代インドと古代中国について分かりやすくまとめられた記事が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
中国の宇宙卵
世界の神話は共通して、初めに形のあるものは何もなく、全ては混沌(カオス)の状態だったといいます。中国の漢民族では、世の初めのカオスはだんだん固まって1個の卵になったと伝えています。
その卵の中もどろどろでしたが、1万8000年がたち、「盤古(古さが固まったもの)」という生き物が生まれました。盤古は成長すると、卵の殻が狭すぎることに気づき、殻をふたつに割りました。上の殻は空になり、下の殻は大地になりました。その後、左下の図に示したようなことがあって、天と地の万物が生まれ、人間も誕生したということです。
創造神はいない世界
キリスト教では1人の神が万物を生み出し、人間もつくったとされますが、中国の盤古はそのような創造主ではありません。カオスが自然に固まって生まれたものです。そのため、中国では、戦勝や豊作を祈るときは、それぞれ別の神に祈るので、多くの神をまつる多神教の世界が生まれました。
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本書では、世界史を創った2大文明の基礎である仏教/ヒンドゥー教/道教/儒教を古代までさかのぼり分かりやすくまとめています。「世界の宗教と文化」シリーズ第3弾『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所/大角修・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。