グレタ・トゥーンベリさんが気候変動の対策を訴え、世界から注目を集めた2018年から6年が経ちました。気候変動への問題意識は年々高まりを見せています。
一方で、複雑な気候変動の問題について、いま何が起きていて、そもそもなぜ問題なのかが把握しきれずにいる人も少なくないはずです。
2020年7月22日に太田出版より刊行した『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)では、地球の気候システムから、いま起きている大変動、さらに人類にできることまで、気候変動の問題を網羅的に、そして図を用いてわかりやすく解説しています。
刊行以来ご好評をいただいている中、この度4度目の増刷が決定いたしました。その記念として、一部をOHTABOOKSTANDで全6回にわたって公開します!
CO₂をやりとりする動植物
地球を温める温室効果(おんしつこうか)ガスとして働く二酸化炭素(にさんかたんそ)(CO₂)は、炭素原子1個と酸素原子2個が結びついた炭素化合物(たんそかごうぶつ)です。炭素は、酸素や水素と同様、生命を維持(いじ)するために欠かせない原子であり、糖(とう)やデンプン、タンパク質など、さまざまな炭素化合物に形を変えて、自然界を循環(じゅんかん)しています。
これを「炭素循環」といいますが、ここで重要な役割を果たすのが、植物です。植物は、大気中に含まれる CO₂ を、光合成(こうごうせい)によって糖やデンプンに変えて成長します。それを食べた動物は、呼吸によってCO₂を吐き出し、命を終えると微生物(びせいぶつ)によって分解され、やはりCO₂になって大気に戻ります。同様に、海の生き物の間でも、炭素のやりとりが交わされています。
また、p19で見たように、海の水は冷たい海域では、重くなって深いところまで沈みこみます。このとき、大気から海に溶けこんだ CO₂も一緒に沈み、数十年から数千年もの長い間、深海(しんかい)に閉じこめられたのち、やがて海の表層(ひょうそう)に現れて大気に戻っていきます。
炭素循環から外れた人間活動
炭素循環によって、大気中から取りこまれるCO₂と、放出されるCO₂の量は、ほぼつり合っています。ところが、人間が石炭や石油を燃やすようになったため、大気中のCO₂ が増加しています。石炭や石油は、何億年も前の動植物の化石(かせき)であり、炭素からできています。長い間、地中に蓄えられていた炭素を、人間が短期間で大気中に放出し、炭素循環を乱しているのです。
『図解でわかる 14歳から知る気候変動』(インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。