現在、NASA(アメリカ航空宇宙局)が進行中の月面探査計画(通称「アルテミス計画」)が本格化してきました! 現在行われている宇宙での探査計画の多くは、宇宙の秘密の解明から、将来の人類移住など、大きな夢をのせて進行しています。そういえば、宇宙飛行士たちは、酸素も重力も無い空間でどうして活動していられるのでしょう? そこには、ここまで培われてきた様々な技術が活かされているのです。
『図解でわかる 14歳からの宇宙活動計画』(インフォビジュアル研究所・著)では、宇宙の秘密や宇宙開発の今、そして未来のプロジェクトまでをカラー図版満載で紹介!
ここでは、その一部を特別に公開します。
今回は、人間が宇宙で生きるために必要な技術について学びましょう。
過酷な宇宙空間で必要なもの
人間が宇宙空間で生きるための技術は、これまで国際宇宙ステーション(ISS)で行われた様々な試みのなかで、数多く習得されてきました。しかし、「アルテミス計画」は、管理されたISSの船内ではなく、過酷な環境にある月面での長期活動を予定しています。そのために必要となるのが、下に挙あげた5つの技術です。
ひとつは、人間にとって必須の水と酸素をつくる技術です。月面には岩に混じって相当量の水資源が眠っていると考えられ、その量は一説によれば100億トンともいわれています。この水資源を発見できるか否かに、アルテミス計画の成否もかかっています。水は人間の生命維持のためだけでなく、水素を取り出してロケット燃料や燃料電池に使うことも検討されています。一方、酸素については、欧州宇宙機関(ESA)によって、月の砂レゴリスから酸素を取り出す実証実験が行われています。
次に、強力な宇宙放射線から身を守るシェルタータイプの地下施設を建設する技術も必要です。地球の重力を利用した重機が使えないため、レゴリスを焼き固めたレンガを重しにするなど、月面独特の建設法が必要となるでしょう。地球から遠隔操作する建設用ロボットの開発も進んでいます。
将来的には、食料も月で自給できるようになることが理想です。閉鎖空間で稼働する植物工場の技術開発は、すでに世界各国で多くの実績が積み重ねられています。
また、エネルギーの自給、完全循環型の閉鎖生態系システムなどは、ISSで培った技術を応用することになるでしょう。
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本書では、現在分かっている宇宙についての情報や、宇宙開発の歴史や発展、予想も含めた今後の展開についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳からの宇宙活動計画』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。