消費税、所得税、住民税……身近なものからあまり聞かないものまでたくさんの種類がある税金。支払うことが義務ですが、その使い道が分からないままでは不安ですよね。
2023年1月に発売された『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)では、「円安」などの基礎的な金融用語から、投資の基本知識、お金のトラブル事例や対処法まで、私たちの生活に関わる「お金」の疑問に答え、図解で解説。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、“税金”について。
A.快適に暮らせる環境づくりや、社会保障、景気対策など、社会に役立つことに使われています。
私たちは毎日の生活で「国」や「地方自治体」からのサービスを受けて生活しています。身近な例をあげると、毎日何気なく使っている道路や水道の整備、ごみの回収などのほか、緊急時に駆けつけてくれる警察や消防などがありますが、これらはすべて国民が払う「税金」で賄われているのです。つまり私たちが支払う税金は、国民が快適に過ごせる環境を整えるために使われていることから、日本の国に住むための「会費」と考えることができます。
税金はまた、健康保険や医療費の補助、介護費用といった社会保障費のほか、自衛隊や開発途上国の援助、そして国の借金である国債の返済などにもあてられています。なかでも社会保障費と国債の返済の占める割合が大きく、これだけで全体の半分以上を占めています。
なお、企業や収入の高い人ほど税率が高くなる累進課税によって支払われた高額の税金は、社会保障という形で、収入の少ない人や障害者に再分配しています(富の再分配)。
さらに、税金には景気を調整するはたらきもあります。好景気の時には増税して、自由に使えるお金を減らして消費を減少させたり、逆に不景気の時には減税して、消費や投資にまわせる資金を増やして景気の落ち込みをゆるめたりする効果があります。
このように税金は、快適に暮らせる環境づくりなど、社会に役立つことに使われています。
このページのキーワード
【国債】
国が、税金収入だけではお金が足りない時に、借金をするために発行する。将来、一定の金額を上乗せして買い取ることを約束している。
【累進課税】
収入が多い人ほど税率が高くなる仕組みのこと。対象となる主な税金は所得税、相続税、贈与税など。
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本書では、他にも「友だちからお金を貸して欲しいと頼まれた…」「私たちも税金を払っているの?」「クレジットカードって、何歳から作れるの?」など、具体的な相談内容を取り上げ解説。お子様だけでなく、大人にも読んでいただきたい一冊となっています。『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。