皆さんは自分の家や親戚の家で仏壇を見たことはありますか? お盆に行うお墓参りやお祭り、観光で有名な寺社仏閣など、それらはすべて仏教にまつわるもの、もしくは祖先崇拝と仏教が融合したものです。私たちの生活に馴染んでいる仏教。それでは、仏教はいつ頃日本にやってきたのでしょうか。
2023年6月に発売された『図解でわかる 14歳から知る日本人の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)には、「信じる」より「感じる」、そんなゆるやかな宗教の時代へ向かう、日本の宗教とこれからについてまとめられた記事が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
仏教の誕生と歴史
およそ2500年前、北インドのシャーキヤ族に生まれた釈迦は、出家して修行し、欲望や恐怖・不安などの煩悩(苦しみを生む心の迷い)を滅したニルヴァーナ(涅槃)とよばれる静かな境地を得ました。その道を人々に説いたのが仏教の始まりです。
釈迦の滅後、遺骨を納めた塚(ストゥーパ)のもとに教団が発展しましたが、やがて多彩なヒンドゥー教世界に飲み込まれ、インドでは姿を消しました。しかし、仏教寺院の跡はインドの全域にあります。それらの寺院は、釈迦の滅後100年くらいから分立した部派(宗派)によって運営されましたが、その資金は各地の王や商人、庶民たちが寄進しました。
紀元前3世紀、初めてインドを統一したアショーカ王は仏教を国教として諸民族の神々の上にブッダ(仏陀)を置きました。ここから仏教は民族宗教の次元を超えて世界宗教へ、同時に国家と民衆の安泰を祈る国家仏教へと発展します。そのさい、僧への寄進を通して幸福を願う上座部と、俗人のままでも仏陀への祈りを通して願いはかなうという大乗仏教に分かれ、それぞれインドの南方・北方に広まりました。
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本書では、成り立ちから現代まで、日本の宗教とそれに関する情報を幅広くご紹介。縄文から続く日本人の宗教と文化をたどる1冊となっています。『図解でわかる 14歳から知る日本人の宗教と文化』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。