旧約聖書の「創世記」では人類の誕生から神への裏切り、そして堕落が記されています。これらが積み重なったことで、旧約聖書の神はわずかな人と生き物を除いて世界を大洪水で一掃してしまいます(「ノアの箱舟」)。イスラエル民族は、このノアの子孫といわれています。では、ノアの箱舟のその後はどうなったのでしょうか…。
2023年9月に発売された『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)では、世界最大の宗教・キリスト教を知るための情報が満載です。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
カナンからエジプトへ
月日は流れ、大洪水を免れたノアの息子セムから数えて10代目、イスラエル民族の父祖とされるアブラハムの時代となりました。彼は75歳のとき、神の啓示を受け、妻や甥などとともに当時住んでいたユーフラテス川中流のハランから南に向かい、カナンの地に移ります。地中海と死海にはさまれたカナンこそ、神がアブラハムとその子孫に与えると約束した土地でした。イスラエル民族の歴史はここから始まったのです。
アブラハムには年をとってからようやく授かった息子イサクがいましたが、なんと神はイサクをいけにえとして捧げるよう命じます。アブラハムは神が告げた山に登り、イサクに刃を向けますが、自分の息子をも惜しまない彼に神は子どもには手をくださないよう告げ、アブラハム一族の繁栄を約束するのでした。
イサクの息子たちの代になると弟のヤコブが兄エサウを欺いて長子の権利を得たため兄の怒りをかい逃亡の旅に出ます。そのなかで、子孫繁栄を約束する神のお告げがあり、またイスラエルという名前も与えられたヤコブはカナンに戻って兄と和解。ヤコブの12人の子どもたちがイスラエル12部族の祖となったのでした。
さて、12人の息子のひとり、ヨセフは父から格別に愛されたため、ほかの兄弟たちから恨まれてエジプトに売られてしまいます。しかしヨセフは自らの才覚で奴隷の身分から司政者にまで上りつめ、兄たちなど一族をエジプトに呼び寄せたのでした。
こうして新たにエジプトを舞台にした歴史が展開していくことになります。
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本書では、キリスト教の成り立ちから、宗教と戦争の関係、そこにこめられた各宗派の想いや歴史までを分かりやすくまとめています。「世界の宗教と文化」シリーズ第2弾『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。