2024年4月23日に発売された『図解でわかる 14歳から知る イスラム教』(山折哲雄・総監修、私市正年・監修、インフォビジュアル研究所・著)をOHTABOOKSTANDでは全6回にわたって、本書の一部を公開します。
戒律が厳しいという印象を持たれがちなイスラム教ですが、それは大きな誤解だったのかもしれません…。本書では「世界でイスラム教徒が増えている理由~じつは楽しく、優しい宗教だから?~」をコンセプトに、イスラム教について徹底解説しています。
第1回は、イスラム教についてデータを用いて紹介します。世界三大宗教のうちの一つであるイスラム教ですが、近年信者数が増加しています。2050年にはキリスト教の信者数を超えるとも予想されています。何故信者数が増加し続けているのか、その要因について解説していきます。
出生率が高く若者が多い
イスラム教は2050年より後にキリスト教を抜いて、世界最大の信者数を抱える宗教になる。アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンターは、そう予測し、理由として次の4つを挙げています。
第一に、ムスリム(イスラム教徒)は子どもを多くもつこと。
人口を維持するには、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数(合計特殊出生率)が2.1 以上必要とされています。
この数字がムスリムは3.1。キリスト教徒の2.7 を上回っています。
第二に、ムスリムの年齢構成を見ると若年層が多いこと。
キリスト教圏の欧米先進国では少子高齢化が進んでいますが、ムスリムは、これから結婚適齢期を迎える人が多いため、出生率の高さと相まって、ますます子どもが増えていくと予想されています。
地域別に見ると、今後、特にムスリムが増えると思われるのは、もともと出生率の高いアフリカです。また、人口増が続くインドは、2060年にはインドネシアを抜き、世界で最もムスリム人口の多い国になると予測されています。
第三の理由は、ムスリムには改宗者が少ないこと。
キリスト教や仏教の家庭に生まれても、おとなになると別の宗教を信仰したり、無宗教になったりする人が一定数います。それに対し、イスラム教の家庭に生まれた人は、一生イスラム教の信者であり続けることが多いのです。
そして第四の理由は、イスラム教圏以外の地域、特にヨーロッパでムスリム移民が増えていること。これについては、次のページで詳しく見ていきましょう。
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本書ではイスラム教徒の暮らしと文化、その教えから経済事情まで、最新情報を起源とともにわかりやすくまとめられた記事が満載です。「世界の宗教と文化」シリーズ第4弾『図解でわかる 14歳から知る イスラム教』(山折哲雄・総監修、私市正年・監修/インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で4月23日から発売予定です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。