本日、2024年4月23日に発売された『図解でわかる 14歳から知る イスラム教』(山折哲雄・総監修、私市正年・監修、インフォビジュアル研究所・著)をOHTABOOKSTANDでは全6回にわたって、本書の一部を公開します。
戒律が厳しいという印象を持たれがちなイスラム教ですが、それは大きな誤解だったのかもしれません…。本書では「世界でイスラム教徒が増えている理由~じつは楽しく、優しい宗教だから?~」をコンセプトに、イスラム教について徹底解説しています。
第3回は、イスラム教の規範において最重要とも言える啓典「コーラン(正確な発音はクルアーン)」について紹介します。実は開祖であるムハンマドが亡くなってから約20年後に成立した「コーラン」。そもそも「コーラン」が成立する前はどのようにして啓示が伝えられていたのか、そして「コーラン」に記された項目はどのようなものなのか…。その目次もふまえて解説していきます。
開祖の死から約20年後に成立
ムハンマドが神から授かった言葉は、口伝えで信者たちに広まっていきました。
しかしムハンマドの死後、伝承が散逸する恐れがあったため、一冊の書物にまとめられました。それがイスラム教の啓典「コーラン(正確な発音はクルアーン)」です。
コーランの編纂は、ムハンマドの秘書ザイド・ブン・サービトによって2度にわたって行われ、第3代正統カリフ、ウスマーンの時代に完成。コーランとはアラビア語で「読誦するもの」を意味し、詩のように美しい響きをもつのが特徴です。
教義や生活の規範を記す
コーランは全部で114 の章(スーラ)からなり、各章を構成する節(アーヤ)は、最小3節から最大286節まで長短さまざま。
章の順番は下の目次に示したとおりですが、神の啓示が下った時代順というわけではなく、なぜこのような配列になったのかは明らかにされていません。
内容は、ムハンマドがメッカにいた期間に授かった「メッカ啓示」とメディナに移住してからの「メディナ啓示」とに大きく分かれます。
メッカ啓示は、ひとつの章が比較的短く、唯一神や来世など、信仰の基本を説く内容が多く見られます。一方のメディナ啓示は、信徒がなすべきこととして、礼拝から商取引まで、生活全般の規範を具体的に示しているのが特徴です。
なお、コーランは神がアラビア語で授けた言葉をそのままに伝えるものであり、他言語に翻訳されたものは、あくまで解説書として位置づけられています。
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本書ではイスラム教徒の暮らしと文化、その教えから経済事情まで、最新情報を起源とともにわかりやすくまとめられた記事が満載です。「世界の宗教と文化」シリーズ第4弾『図解でわかる 14歳から知る イスラム教』(山折哲雄・総監修、私市正年・監修、インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。