キリスト教──世界史を学ぶ上で知らずにはいられない宗教ですが、その詳細を知っている人はどのくらいいるでしょうか。宗派の成り立ちや違いを知ることで、世界で起きている紛争の理由やそこのいる人たちの想いを知ることができます。キリスト教を学んで、国際社会の解像度を高めましょう。
2023年9月に発売された『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)では、世界最大の宗教・キリスト教を知るための情報が満載です。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
3大宗派の大まかな違い
アメリカのゴードン・コンウェル神学校世界キリスト教研究センターによれば、現在、世界には4万5,000以上ものキリスト教系の宗派(教派)があるといいます。この宗派の多さが、キリスト教をわかりにくくしていますが、大きな潮流として、カトリック、東方正教会、プロテスタントの3つがあることを知っておきましょう。
このうち、最も信者数が多いのはカトリックです。イタリアのローマにあるバチカン市国を総本山とし、ローマ教皇を頂点として、全世界のカトリック教会を統括しています。一般にキリスト教といって日本人が思い浮かべる壮麗な教会建築やキリストの磔刑像などは、カトリックの特色です。
2つ目の東方正教会は、カトリックと同じく原始キリスト教をルーツとしています。教義の違いなどから1054年に西方のカトリックと決別し、ロシア、東ヨーロッパなどに浸透。国ごとに独立した教会組織をもち、伝統的な儀礼を重んじ、キリストや聖母、聖人などを描いたイコン(聖像画)を崇敬するのが特徴です。
3つ目のプロテスタントは、16世紀の宗教改革によって、カトリックから分離して新たに生まれました。そのため旧教(カトリック)に対し、新教とも呼ばれます。その大きな特徴は、聖書だけをよりどころとし、聖職者は特別な権限をもたず、すべての信者は神の前で平等だと考えることにあります。統一の組織をもたないため、ルター派、改革派、メソジスト派など無数の教派が生まれるに至りましたが、信じる神と聖典である聖書は同じです。
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本書では、キリスト教の成り立ちから、宗教と戦争の関係、そこにこめられた各宗派の想いや歴史までを分かりやすくまとめています。「世界の宗教と文化」シリーズ第2弾『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。