「民主主義の危機」というフレーズを最近よく耳にしますが、そもそもどういう意味なのでしょうか。それがなぜ歓迎されざるべきことなのか、私たちは明確に言葉にできるでしょうか。古代にすでに存在した民主主義の起源・基礎から、最先端のITとAIによるデジタル直接民主主義までをコンパクトな通史として俯瞰しつつ、これからの世代の民主主義の「あり方」を具体的に考えるための情報集がインフォビジュアル研究所・編『図解でわかる 14歳から考える民主主義』です。
ここでは、本書から一部をご紹介していきます。(全6回)
国家は大規模な旅行団
民主主義は、なぜ必要なのでしょう? ここでは、旅に例えて考えてみましょう。
下のイラストに示したように、1人旅なら、行き先も日程も自由です。しかし、人数が増えると、人によって意見が異なるので、全員が納得できるような旅程を組み、旅のルールを決める必要があります。
少人数の場合、全員で話し合って、行き先や日程を決めることもできるでしょう。しかし、時には意見が分かれて喧嘩になったり、主張の強い人の意見に押し切られてしまったりすることもあります。
100人の団体旅行ともなると、全員の意見を聞いていては、話がまとまりません。そこで、参加者を代表する旅行委員を選び、旅行会議を開きます。そして、委員のなかから選ばれたリーダーが、委員の意見をとりまとめ、旅行を実施します。
国家は、旅行団をもっと大規模にしたようなもので、首相や大統領は、旅のリーダーに当たります。無数の人を乗せて、国家という列車を走らせるためには、やはりルールが必要です。国民全員が納得できるような公平なルール、それが民主主義です。
* * *
本書では、民主主義の誕生や歴史、これからの課題についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から考える民主主義』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。なお、「図解でわかる14歳からの~」は現在第20弾まで刊行されている人気書籍シリーズ。ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、宇宙開発、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。