過去の経験が原因で辛い気持ちになったり、身動き出来なくなってしまったりすることがありませんか? 「トラウマ」と呼ばれるこの症状は、私たちの普段の活動に大きく影響します。では、何故トラウマ状態に陥ってしまうのでしょうか?
9月に発売された『図解でわかる 14歳からのストレスと心のケア』(社会応援ネットワーク)では、様々なストレスに向き合い、解決に導く方法を紹介しています。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、トラウマの仕組みについて一緒に学びましょう。
トラウマとは……
災害や事故、犯罪など生死に関わるような危険にあったり、その場面を目撃した時に負う「心の傷」のことを「トラウマ」といいます。そのため、トラウマは日本語で「心的外傷」と訳されています。そして、トラウマのもとになった出来事を「トラウマ体験」と呼びます。
災害や戦争のようなトラウマ体験をした人の中には、時間が経っても地震という言葉を聞いたり、サイレンの音が聞こえたりするだけで強い恐れを感じる人がいます。これは怖い体験と一緒にその時に見た景色や聞こえていた音、その場のにおいなどがまるで「冷凍保存」されたように脳の中に記憶されているからです。そしてその記憶は、何かのきっかけで、一気に解凍され、まるで目の前で起こっているかのように生々しくよみがえることがあります。このように記憶がよみがえるきっかけとなる刺激を「トリガー」、その時の体験を「フラッシュバック」(再体験)といいます。
「フラッシュバック」はトラウマからの回復過程でも起きます。怖がってトラウマ体験に関連することを避け(回避)続けていると、心にネガティブな影響がでてきます。トラウマは正しくケアすれば回復します。正しく知り、対処法を学びましょう。
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本書では、他にも「悲しいニュースをみると胸が苦しくなる」「友だちに本音を話せない」「親にガミガミ言われるのがイヤ!」など、具体的な相談内容を取り上げ解説。学校の保健室や、児童相談所などにも置いていただきたい一冊となっています。『図解でわかる 14歳からのストレスと心のケア』(社会応援ネットワーク)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。