スマートフォンの普及は、あらゆる面で人々のコミュニケーションを活発にし、私たちの生活を便利にしました。その中で、スマートフォンが普及する前には存在しなかったカタチのいじめが、一部の人を傷つけています。
9月に発売された『図解でわかる 14歳からのストレスと心のケア』(社会応援ネットワーク)では、様々なストレスに向き合い、解決に導く方法を紹介しています。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、ネットいじめの概要と対処法について学びましょう。
ネットいじめとは?
近年、学校内でも問題になっているのが「ネットいじめ」です。ネット上の掲示板に「×組の△△さんが〇〇をしているのを見たよ」と、うその情報や本人が知られたくないことを書き込んだり、クラスのLINEグループとは別に特定の人だけをのぞいたグループを作って「〇〇を無視しよう」と呼びかけたり…。
こうしたケースは比較的判断がしやすいのですが、学生時代には仲間内での独特なコミュニケーションや言葉遣づかいがあって、周囲だけでなく、当事者たちもいじめかどうか判断しにくいケースもあるようです。
もともとLINEなどの文字情報だけでのコミュニケーションは、表情やニュアンスなどが伝わりにくいため、それぞれが自分の視点で解釈したり、思い込んだりして、ネガティブな感情と行動を引き起こしやすいものです。そのため、ささいな誤解がいじめに発展するケースも少なくありません。そういう場合は深刻な状況になる前に、電話や対面で事実確認をすることが大事です。それでも、不愉快なことや辛いことが続くようなら我慢せずに、自分で対策をしてみましょう。
ネットいじめはリアルないじめの延長戦上で起こることも多いのですが、ネットいじめには、デジタル上の記録が残るという特徴があります。そのため、精神的な苦痛が長く続くという側面もある一方で、いじめを止めるのに役立つ証拠をとりやすい面もあります。証拠を残す、報告をするなど、一人でもできる対策で、いじめの悪循環を止めることができるかもしれません。悩んだり、迷ったりしているのなら、いじめられている人も、周りでみている人も、勇気を出して、行動を起こしてみましょう。
ネットいじめ国の相談窓口
文部科学省
▶24時間子供SOSダイヤル
法務省
▶子どもの人権110番
警察庁
▶都道府県警察の少年相談窓口
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本書では、他にも「悲しいニュースをみると胸が苦しくなる」「友だちに本音を話せない」「親にガミガミ言われるのがイヤ!」など、具体的な相談内容を取り上げ解説。学校の保健室や、児童相談所などにも置いていただきたい一冊となっています。『図解でわかる 14歳からのストレスと心のケア』(社会応援ネットワーク)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、食料問題、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。