最近、「円安だから日本旅行がお得!」「円安で輸出産業に打撃!」なんて言葉をよく聞きますよね。でも、それが何故問題として取り上げられているのかまで理解している人はどれくらいいるのでしょうか?
2023年1月に発売された『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)では、「円安」などの基礎的な金融用語から、投資の基本知識、お金のトラブル事例や対処法まで、私たちの生活に関わる「お金」の疑問に答え、図解で解説。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、“円安と円高”について。
A.ドルなどの外貨に対する円の価値が、上がったり下がったりすることです
円高とは、ドルなどの外貨に比べて円の価値が上がること、円安とは逆に下がることです。反対に、円高になれば外貨の価値は下がり、円安の時には外貨の価値が上がるとも言えます。これは、モノの値段と同じように需要と供給の関係によって決まります。例えば、円をドルに替えたい人が多ければドルの価値が上がり(円安)、逆にドルを円に替えたい人が増えると円の価値が上がります(円高)。世界中のお金に関しても同じで、世界のお金の価値はいつも変動しているのです。
それでは円高・円安になるとどういうことが起こるのでしょう?
ある時点で1ドル=120円だったものが150円に変動したとします。するとそれまで120円で買えていたものが150円を支払わないと買えなくなってしまいます。これが円安(円の価値が下がる)の状態です。逆に1ドル=120円だったものが90円になれば、90円で買えることになります。これが円高(円の価値が上がる)の状態です。
それなら円高のほうがいいのではと思うかもしれません。でも、円高になると、外国からモノを買う時には安く買えますが、逆に外国にモノを売る時には安く売ることになります。円高が続くと、本来の価値よりも安くしないと売れなくなってしまうのです。
これを会社や国の貿易レベルで考えると、とても大きな差になります。特に日本は、自動車や電化製品などの輸出が盛んで、ガソリンや灯油の原料になる原油、牛肉や小麦粉などの食料品の多くは輸入に頼っています。円高が続くと、主要な輸出品は安くなってしまうので利益が大きく下がり、逆に円安が続くと、原油や牛肉、小麦粉などの食料品、木材、海外ブランド品などが高くなります。
このように円高や円安は、国の経済や私たちの生活に直接影響を及ぼすことになるため、非常に重要なこととして、毎日報道されているのです。
このページのキーワード
【円高】
外貨に対して円の価値が上がること。海外で120円だった品物が90円で買えるようになるなど、主に輸入に対して有利に働き、ガソリンや牛肉などが安くなるメリットがある反面、輸出においては不利になる。
【円安】
外貨に対して円の価値が下がり、例えばそれまで海外で120円で買えていた品物が120円より高く支払わないと買えなくなること。円高とは逆に、輸出においては有利だが、輸入では不利となり、原油や食料品の価格などが高くなる。
* * *
本書では、他にも「友だちからお金を貸して欲しいと頼まれた…」「私たちも税金を払っているの?」「クレジットカードって、何歳から作れるの?」など、具体的な相談内容を取り上げ解説。お子様だけでなく、大人にも読んでいただきたい一冊となっています。『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。