LGBTに関する法整備は今も世界中で進行中です。そんな中、ジェンダーレスなトイレの採用や公衆浴場での対応などに注目が集まっています。皆さんの性(セクシュアリティー)は何ですか? 果たして、「男」「女」の2つだけで分けられるものなのでしょうか。あなたは、男子トイレ、女子トイレのどちらに入りますか?
2021年9月に発売された『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(社会応援ネットワーク)では、LGBTQ+に関わる詳しい用語解説と、2021年時点でのLGBTQ+を取り巻く社会についてをまとめた記事が満載です。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
A.その2つに当てはまらない性のあり方もたくさんあります。
書類に性別欄があり、「男」「女」のどちらかを○で囲んだ経験がある人は多いのではないでしょうか。この2つは、生まれた時に割り当てられた性別であり、出生届に記入された法律上の性別のことです。「戸籍上は男性になっているけれど、本当は自分自身のことを女性だと思っている」。このように思う人はどうしたらいいのでしょうか。
性(セクシュアリティー)のあり方を表すのに、「男」「女」の2つだけで考えるのではなく、4つの軸を使う考え方があります。生まれた時に割り当てられた性別(法律上の性別)、性自認(自分で思っている性別)、性的指向(好きになる性別)、性表現(自分の性をどう表現するか)です。「自分は女の子だと思っているけど、自分のことは僕って言うし、メンズの服をよく着てるから、70%くらい男子で30%くらい女子」という人も、「男女半々くらいかな」という人もいるでしょう。すべての軸で100%女性、100%男性という例は少ないかもしれません。セクシュアリティーはこのようにグラデーションで表すことができるのです。
このような考え方を表す単語として、4つの軸のうち、「性的指向(Sexual Orientation)」と「性自認(Gender Identity)」の頭文字を取った、「SOGI」(ソジ)という言葉があります。LGBTQ+は、性的少数者(セクシュアル・マイノリティー)の人々を表していますが、SOGIはそうした人も含んだすべての人の性のあり方を示す言葉になっています。
このページのキーワード
【性自認(Gender Identity)】
自分の性をどう認識しているかのこと。「こころの性」と呼ばれることもある。
【セクシュアル・マイノリティー】
性的少数者のこと。レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどを含む総称として使われることが多い。
【性表現(Gender Expression)】
着る物や言葉づかいなど、自分の性をどう表現するかのこと。
【性的指向(Sexual Orientation)】
恋愛や性的な関心がどの性別に向くか・向かないかのこと。
【セクシュアリティー】
法律上の性、性自認、性的指向、性表現などを含んだ性のあり方の総称。
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本書では他にも、LGBTQ+の考え方や当事者の方への接し方、彼らを取り巻く社会や世界の法律までを詳しくまとめています。『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(社会応援ネットワーク・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケアなどなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。