もし世界のほとんどの人が自分の肉体と精神の性別が一致していて、異性に好意を抱く人だとしても、そうじゃない人たちを「普通じゃない」とは呼びません。どんな性自認にも名前があり、多様な組み合わせがあります。今回は、“LGBTQ+”の言葉の意味について学びましょう。
2021年9月に発売された『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(社会応援ネットワーク)では、LGBTQ+に関わる詳しい用語解説と、2021年時点でのLGBTQ+を取り巻く社会についてをまとめた記事が満載です。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)
A.性的少数者(セクシュアル・マイノリティ―)の人たちを表す呼び方のひとつです。
LGBTQ+とは、それぞれの言葉の頭文字から取った表現で、セクシュアル・マイノリティーの人たちを表す総合的な呼び方のひとつです。Lesbian(レズビアン)とは、女性の同性愛者、つまり女性を恋愛対象として好きになる女性です。Gay(ゲイ)とは男性の同性愛者のことです。Bisexual(バイセクシュアル)は、自身の性を問わず男性と女性、両方の性を好きになる人のことをいいます。レズビアン=男性的な外見、ゲイ=女性的な外見というわけではありません。見た目は関係なく、自分の性と好きになる人の性の関係で表されます。
Transgender(トランスジェンダー)は、生まれた時に割り当てられた自身の身体の性別と、性自認(自分で思っている性別)が違っている人のことを表します。例えば、女の子として生まれて生活しているけれど、どうしても制服のセーラー服が着たくなかったり、「女性」として生きていくことが苦痛だったりすることがあります。その中には性同一性障害と診断される人もいます。
Questioning(クエスチョニング)は、性自認や好きになる性について、わからない・決められない、あるいは、あえて決めていない人のことをいいます。
これらの枠組みに当てはまらない人たちも含めて表すために、+(プラス)がつけられています。
多数派にも呼び名がある
生まれた時の性別と性自認が一致している人のことは「シスジェンダー」といいます。女性が男性を、男性が女性を好きになるのは異性愛と呼ばれ、「ヘテロセクシュアル」といいます。それは「普通」のことではないか、と思うかもしれませんが、「普通の人」とは呼びません。例えば、あなたが生まれた時に女性で・自分のことを女性と思っていて・男性を好きになる場合は、「シスジェンダーのヘテロセクシュアル」の人ということになるのです。
このページのキーワード
【セクシュアル・マイノリティー】
性的少数者のこと。レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどを含む総称として使われることが多い。
【性自認(Gender Identity)】自分の性別をどのように認識しているかを表す概念。「こころの性」と呼ばれることもある。
【性同一性障害(GID: Gender Identity Disorder)】
身体的性別と性自認が異なる人の中でも、特に精神医学的に診断基準を満たした人のこと。
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本書では他にも、LGBTQ+の考え方や当事者の方への接し方、彼らを取り巻く社会や世界の法律までを詳しくまとめています。『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(社会応援ネットワーク・著)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、日本の宗教、ごみ問題、水資源、気候変動などのSDGsに関する課題や、地政学、資本主義、民主主義、心のケアなどなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。