最近、「○○の値段が上がった」「値上げラッシュ」など、物価高騰についてのニュースを目にする機会が多いですよね。日々のお買い物で痛感されている人も多いのではないでしょうか。では、モノの値段は一体どうやって決まっているのでしょう?
2023年1月に発売された『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)では、「円安」などの基礎的な金融用語から、投資の基本知識、お金のトラブル事例や対処法まで、私たちの生活に関わる「お金」の疑問に答え、図解で解説。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、“モノの値段”について。
A.需要と供給のバランスによって決まります
世の中にはモノがたくさん売られていますが、商品によって値段が違ったり、同じ商品でも売られている時期によって値段が変わることがあったりします。モノの値段はどのようにして決められているのでしょうか。
経済市場においては、個人や企業が「その商品が欲しい」と考えて購入しようとする欲求を「需要」といい、求めに応じて商品を提供することを「供給」といいます。わかりやすく数に例えて「欲しい人の数」と「売りたい人の数」として考えてみましょう。欲しい人より売りたい人のほうが多いと、その商品は余ってしまいます。逆に欲しい人が売りたい人より多くなると商品は足りなくなります。余った商品は、たとえ値段を下げてでも売りたいと思うので安くなり、商品が足りないと、高くても買うという人がいるので値段が上がります。
このようにモノの値段は、需要と供給のバランスによって成り立っています。でも、モノが足りなくなって価格が上がりすぎても買う人が少なくなり、自然と値段が下がっていきます。値段が下がると利益も少なくなり、お店がつぶれてしまうかもしれません。結局のところ、多少の変動はあっても、欲しい人も売りたい人も誰もが納得できる適正な値段に落ち着いていくのです。
また、商品やサービスの種類によっては、需要と供給のバランスをあらかじめ見込んで、状況に応じて価格を変動させるケースも見られます。これをダイナミックプライシングと呼んでいます。例えば、旅行商品は、ゴールデンウィークやお正月、夏休みなど、時期によってその価格が変わります。これは、休みの人が多いので旅行に行きたいという需要が高まり、供給の量より多くなるからです。また、山の上の自動販売機の料金など、都市部から遠く離れた場所では、運搬料も加わって代金が高くなることもあります。
このページのキーワード
【需要】
個人や企業などが市場において購入しようとする欲求。需要が高まると、通常は値段が上がる。
【供給】
市場の需要に応じて、財・サービスを価格の支払いと交換に引き渡すこと。供給が需要を上回ると、通常は値段が下がる。
【ダイナミックプライシング】
あらかじめ需要と供給のバランスを見込み、状況に応じて価格を変動させる販売戦略のこと。
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本書では、他にも「友だちからお金を貸して欲しいと頼まれた…」「私たちも税金を払っているの?」「クレジットカードって、何歳から作れるの?」など、具体的な相談内容を取り上げ解説。お子様だけでなく、大人にも読んでいただきたい一冊となっています。『図解でわかる 14歳からの金融リテラシー』(社会応援ネットワーク)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
全国の小中学生向けの『子ども応援便り』編集室が、2011年東日本大震災時、「メッセージ号外」を発行したのを機に設立。同時に文部科学省等から委託を受け、被災地に「子どもの心のケア」の出張授業や教職員向けの動画配布を行う。以降、全国の4、5、6年生全員に『防災手帳』を無料配布するなど、学校現場からの「今、これが必要」の声に徹底して応えるプロジェクトを展開。心のケア、防災、共生社会、SDGsの出張授業や教材作り、情報発信を続ける。コロナ禍では、「こころの健康サポート部」を立ち上げた。書籍に『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(太田出版)など。