「大人になったら法律に携わる人になりたい」なんて考えたことはありませんか? 大体の人が裁判官や弁護士などを頭に浮かべると思いますが、実は、裁判の場にはより多くの職種、多くの人が関わっています。
2023年2月に発売された『図解でわかる 14歳から知る裁判員裁判』(インフォビジュアル研究所)は、民主主義と裁判の深い関係や、裁判と裁判員制度の基礎知識、裁判員裁判シミュレーションなど、いざ自分が裁判員に選ばれた時にためになる知識が満載。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。
今回は、法律を担う人々について、一緒に勉強しましょう。
民事・刑事事件における役割分担
裁判所が扱う事件には、大きく分けて民事事件と刑事事件の2種類があります。どちらも裁判所に裁判を申し立てることから裁判手続きが始まり、裁判を申し立てる人と申し立てられた人を当事者と呼びます。
民事事件では、裁判を申し立てる人(原告)も、申し立てられた人(被告)も、自分で裁判を進めることもできますが、弁護士に依頼して裁判を進めてもらうのが一般的です。弁護士は法律の専門家として、個人の権利を擁護する役割を果たします。
刑事事件では、犯罪が発生すると、地方公務員である警察官が捜査を行って犯人を確保し、国家公務員で法律の専門家である検察官に送ります(送検)。検察官は、警察官や自分が捜査した証拠に基づき、罪を犯した疑いのある人(被告人)を相手に、裁判所に裁判を申し立てます。刑事裁判を申し立てることができるのは、原則、検察官だけです。被告人は、自分の基本的人権を守るために、弁護士(刑事裁判では弁護人といいます)の援助を受ける権利が憲法によって保障されています。
そして民事・刑事事件ともに、公開の法廷で審理(事実関係や法律関係を明らかにすること)が開かれ、裁判官が証拠を調べ、当事者双方から意見を聴いて、判決を言い渡します。刑事事件では、一定の重い犯罪が審理される場合には、3人の裁判官のほかに、一般国民から選ばれる6人の裁判員が審理と判決に参加します。司法制度を支える人々というと、法律の専門家を考えますが、裁判員になる国民も、大切な役割を担っていることを忘れてはなりません。
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本書では、裁判の基礎知識から裁判員裁判のシミュレーションまで、裁判員裁判に関わる情報を幅広くご紹介。人を裁くことへの向き合い方を学べる一冊となっています。『図解でわかる 14歳から知る裁判員裁判』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。図版が多くわかりやすいと好評の書籍シリーズ「図解でわかる~」は、金融リテラシー、ごみ問題、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、民主主義、心のケア、LGBTQ+などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。