ある日突然わたしたちを襲う災害。自然的、人為的を問わず、あらゆる災害はわたしたちの生活をつくるたくさんのモノを壊してごみにしてしまいます。それらはどう処理されるのでしょう。
『図解でわかる 14歳から知るごみゼロ社会』では、詳細なデータをもとに、現在世界が抱えるごみの問題について分かりやすく解説しています。
今回は「災害ごみ」についての解説を一部ご紹介します。
気候変動が招く災害も多発
近年、世界各地で自然災害が多発しています。アメリカではハリケーンや森林火災、アジアではモンスーンや洪水、そして日本でも毎年のように、台風、豪雨、地震などが発生し、大きな被害をもたらしています。
その結果、発生するのが、災害ごみです。大規模な災害は、家屋の倒壊、破損、浸水などを引き起こし、まだ使用できるものも一瞬にしてごみに変えてしまいます。2011年の東日本大震災では、津波被害を併せて推定3,100万トンもの災害ごみが発生。一部は太平洋に流れ出し、対岸の国に漂着するものもありました。
災害によって生じるごみは、災害の種類や規模、場所などによって異なり、損壊した建物の一部、家財、車、船舶、草木、農作物、土砂、汚泥など種々雑多です。それらが混じり合い、農薬や化学洗剤などの有害物も、個人の思い出の品や貴重品も、ごみに埋もれてしまいます。
そのため、撤去や処理は容易いではなく、膨大な費用もかかります。災害の多い日本では、経験を積み上げて、速やかに廃棄物の撤去作業が行えるようマニュアルがつくられ、災害ボランティアも組織化されるようになりました。今後は日本が蓄積したノウハウを、災害対策が不十分な途上国の支援に役立てていくことが望まれています。
地震を除けば、台風、ハリケーン、豪雨、洪水、森林火災などの自然災害は、近年の気候変動によって頻発していると考えられています。そのため、災害対策を強化する一方で、地球温暖化対策にも取り組まなければならないでしょう。
* * *
本書では、人々の文化の発展とごみの歴史、今考えるべきごみの問題、そしてこれからの課題についてわかりやすく解説しています。『図解でわかる 14歳から知るごみゼロ社会』(インフォビジュアル研究所)は全国書店・通販サイトや電子書店で発売中です。「図解でわかる14歳からの」シリーズは、現在第19弾まで刊行されている人気書籍です。ごみ問題のほか、水資源、気候変動などの環境課題、地政学、資本主義、宇宙開発、食料問題、LGBTQ+、防災などなど、今だから学び直しておきたいワンテーマを1冊に凝縮して3~4カ月毎に刊行されています。
筆者について
2007年より代表の大嶋賢洋を中心に、編集、デザイン、CGスタッフにより活動を開始。ビジュアル・コンテンツを制作・出版。主な作品に『イラスト図解 イスラム世界』(日東書院本社)、『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』(東洋経済新報社)、「図解でわかる」シリーズ『ホモ・サピエンスの秘密』『14歳からのお金の説明書』『14歳から知っておきたいAI』『14歳からの天皇と皇室入門』『14歳から知る人類の脳科学、その現在と未来』『14歳からの地政学』『14歳からのプラスチックと環境問題』『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』『14歳から考える資本主義』『14歳から知る食べ物と人類の1万年史』『14歳からの脱炭素社会』『14歳からの宇宙活動計画』(いずれも太田出版)などがある。